
春だ。
窓を開けると、風が軽い。
なんだか体も心も、「さあ、動くぞ!」となる季節。
新しいことを始めたくなる。
止まっていたことを、もう一度動かしたくなる。
「この春こそ」と、つい力も入る。
でも今日は、その反対のことを書いてみたい。
動かない日があっていい。
何かに一生懸命エネルギーを注いでいるのに、
なぜか流れが来ない。
手応えがない。
反応がない。
そういう時間って、ある。
「自分のやり方が悪いのかな」
「もっと頑張らなきゃ」
「まだ足りないのかな」
そんなふうに、
自分を責めそうになること、ない?
わたしはある。
何度もある。
でもね、そういう時って、
タイミングがまだ来ていないだけ
なんだと思う。
種は、土の中でちゃんと育っている。
以前、「ぬくもりファースト」の記事で、こんなふうに書いた。
動いても進まない日や、意識の温度が下がっている日は、「今は待つ」のサイン。
タイミングは、合わせるものではなく、合うもの。
この感覚は、今も変わらない。
エネルギーを注いでいるものは、
いつかちゃんと動き出す。
種を蒔いて、水をやって、
でも芽が出る時期は、
わたしが決めることじゃない。
土の中では、
ちゃんと準備が進んでいる。
ただ、まだ見えていないだけ。
見えないところで、ちゃんと進んでいる。

春の紫外線って、強いって言うじゃない?
夏になると「さあ日焼け止め!」って
みんなが意識するけれど、
実はもう、春から日焼け止め戦線は始まってる。
目には見えにくいけれど、
水面下ではちゃんと作用しているものってあるんだよね。
それと同じで、
流れが来ていないように見える時も、
見えないところでは、
ちゃんと進んでいることがある。
だから、安心して待っていい。
「今だ」という瞬間を、待てるかどうか。
「待つ」って、
人にとって案外むずかしい。
やり始めたら結果がほしいし、
動いたら、動いたぶんだけ返ってきてほしい。
その気持ちは、すごくよくわかる。
でも、ものごとには
やっぱりタイミングがある。
たとえば、
お腹がいっぱいの時に
とてもおいしいおやつを出されても、
そのおいしさを全部は受け取れなかったりする。
でも、少し時間が経って、
ちゃんとお腹が空いた頃に食べたら、
同じおやつが、驚くほどおいしい。
届けるにも、受け取るにも、
「今だ」という瞬間がある。
それを待てるかどうかって、
実はとても大事なことなんだと思う。
力ずくで持ってきたものは、どこか不自然。
流れが悪い時に、
人がついやってしまうのは、
もっと動くことだ。
「もっと行動すれば」
「もっと発信すれば」
「もっと、もっと、もっと」
そうやって、
だんだん”自然な流れ”ではなく、
“力ずく”になっていく。
でも、無理に引っぱってきたものには、
どこかにひずみが出る。
頑張りすぎた自分に、
あとから疲れがどっと来ることもあるし、
自分には出なくても、
つながっている誰かに出ることもある。
一見うまくいったように見えても、
無理して持ってきたものは、
どこか不自然なんだよね。
「今じゃないよ」というサイン。

わたしが大事にしたいのは、
「時を待つ」こと。
春はたしかに、動きたくなる季節。
動くことが自然な人もいると思う。
でも、もし今、
どうも動きがついてこないなと感じるなら。
それは
「今じゃないよ」というサイン
かもしれない。
流れが来ていない時は、
まだ外に出すタイミングじゃないのかもしれない。
焦らなくていい。
自分を疑わなくていい。
あなたがちゃんとエネルギーを注いでいるなら、
それは今も、土の中で育っている。
必ず、動き出す日は来る。
向こうからやってくる流れは、力がちがう。
わたしはもともと、「待つ」こと自体は苦手じゃない。
どちらかというと、自分に合っていると思う。
ただ、待っているあいだに
ほんの少しだけ
「これで合ってるのかな」と確かめたくなることはあった。
でもある時、気づいたんだ。
無理に動かなかった時期のあとに来る流れは、
自分ががんばって作った流れとは、
まるで力がちがう。
向こうからやってくる流れには、
追い風がある。
味方がいる。
タイミングの合う人や出来事が、
自然と並んでくれる。
それを何度か経験してから、
待つことは
止まっていることじゃないんだと
ますます思うようになった。
内側があたたかければ、外側はあとからついてくる。

春だけど、
動かなくていい日もある。
あなたが温めているもの。
大切にしているもの。
静かにエネルギーを注いでいるもの。
それは、ちゃんと育ってる。
内側があたたかければ、
外側は、あとからついてくる。
「あ、今だ」とわかる日は必ず来る。
その感覚は、意外とはっきりしているから。
だからそれまでは、
安心して待っていていい。
花だって、咲く順番はそれぞれだ。
春なのに動けない、じゃなくて。
春だからこそ、
無理に動かないという選び方もある。
それは後ろ向きではなくて、
ちゃんと流れを信頼しているということ。
少し休む。
少しあたためる。
少し、余白を残しておく。
そのくらいが、ちょうどいい日もある。
春はせっかちだから、
こちらまで急がせてくるけれど。
花だって、咲く順番はそれぞれだ。



