受け取るということ
もっと、
愛してほしい。
わかってほしい。
そんなふうに願うときほど、
すでに差し出されているものに
気づけなくなる。
愛を。
サポートを。
やさしい言葉を。
寄り添うまなざしを。
受け取ることを忘れて、
「足りない世界の住人」になってしまう。
その世界の道を歩けば、
幸せの世界から
少しずつ、離れていく。
でもね、
受け取るということは、
「あなたに、気づいています」と
静かに伝えること。
「ありがとう」を、
そっと、感じること。
それに気づくと、
世界の見え方が、変わってくる。
誰かの一言。
子どもの仕草。
さりげない気遣い。
今までも
そこにあったはずの幸せが、
くっきりと、姿をあらわす。
私は、
3人の子どもを
夢中で育ててきた。
「大変だったね」
「よくがんばったね」
そんな言葉をもらうたびに、
あの頃の景色がよみがえる。
けれど今、振り返ってみると――
あの大変さの中に、
こぼれていたギフトが、
たくさんあった。
表情。
個性。
言葉。
全部を、独り占めできたこと。
「かけがえのない人にしてもらえた」こと。
それは、
何にも代えがたい、
受け取った宝もの。
だから、私は今、こう思う。
どうか、どうか。
いちいち、受け取ってほしい。
そこにある愛を。
まっすぐな言葉を。
差し出された気持ちたちを。
宝を見つける名人になろう。
幸せの世界は、
「ここ」にある。
たとえ、
どんなに嫌なことがあった日でも。
問いかけてみて。
「ここで得たことは、なんだろう？」
それができる人こそが、
幸せの住人。
得たものは、
必ずある。
なぜなら、
それがあるから、
人は命をつないでいけるから。
今日もまた、
何かがそっと、
あなたに差し出されている。
それを、
受け取ろう
