川はわたしの道標だった。
育った家の前には川があり、
おたまじゃくしやカエルやメダカ、
ザリガニにアメンボ、カニに時々ヘビ。
当たり前のようにそれらと遊び、
遊んでは自然の摂理を、教えられた。
お母さんに怒られた日は、
泣きっ面で川沿いを ずんずんずんずん歩いて遠くまで行き、
流れる風景が
目新しさから恋しさに変わる頃、また 川沿いを歩いて家に戻る。
いつも、気づいたら
心の中まで流してくれてた。
すごい雨の日は
いつもと違う茶色の濁流に のみ込まれそうな恐怖と
それでもいつもの川だからと
興味で近づくわたしに、容赦なく飛沫を浴びせる。
それでも
また穏やかな いつもの流れに還る。
どんな時もどんなことも 潔く受け入れ、
変わっていくことも
在るべき姿で優しく見守り、
自然の循環を決して忘れずに
そこに在り続ける美しさ。
抗わずとも
自然淘汰されていく運命を
クリエイトしているかのような身のこなし。
何年か前にその川を見に行った。
周りは年月を帯びていたが
川だけは記憶のままだった。
「変わらぬ美しさ」とは
変わりゆくすべてに身を任せ、受け入れた先にある。