ちょっと昔話。
中学入学のお祝いに、
わたしはラジカセを叔父に買ってもらった。
それはラジオが聴けて、
カセットテープも聴ける。
だけじゃなく
録音でき、
その上、デザインは可愛くコンパクト。
わたしのセカイを
この上なく広げてくれるものとなった。
そして、高校入学時には
親の行って欲しい高校に進むことを条件に
念願のオーディオセットを手に入れた。
レコードもカセットもCDもラジオも聴け、
音響を自分の好みに変えられる。
当時のオーディオの中では
ハイクラスのものを遠慮なく選んだ。
譲れなかったのであるw
何より最高だったのは
マイフェイバリットソング集をつくること。
お小遣いの中でやりくりするために
足しげくレンタルショップに通い、
カセットに録音しては
大音量にしてヘッドフォンで聴いていた。
それだけで
自分がこのセカイの主役になれた。
そのマイフェイバリットソング集を
カセットにダブル録音しては
大切な友に渡し、
そのセカイの素晴らしさを共有できる喜びを
つまんなかった高校生活の穴埋めにもしていた。
その後、親友が失恋の痛手から
精神的に落ちていき、
学校にも来なくなり、
何もできない自分の不甲斐なさと
ひとりで通うようになった寂しさを
埋められなくなったわたしは
学校に行く理由が欲しくて
誕生日にウォークマンを買ってもらうことにした。
気持ちが闇を彷徨う間、
光に進むための一歩一歩の力が欲しかった。
マイフェイバリットソング集を
大音量で聴きながら
肌身離さず過ごせば
自分は自分のセカイの主役でいれる!
と思ったのだ。
そして、その通り主役でいれた。
それから何個も何個も
マイフェイバリットソング集を
思春期の揺れ動く心の様に合わせて作り、
その度に主役に浸った。
マイフェイバリットソング集さえあれば
いつでも幸せに戻るとすら思えていた。
が、
ある時に気づいたのだ。
物悲しげな曲が多いことを。
主役はいつも幸せとは限らない。
そのうち
環境だけを整えても、
日常で自分を生きなければ
人生はモノクロだと知った。
人生に主役として参加しなければ!と。
怖気付いているばかりでは
心は彩れない。
あれから干支を3周半くらい廻った今、
人生を彩るのは
主役だけじゃないことを知っている。
大切な人たちの脇役、エキストラでも
わたしに心からの喜びを与え、
夢中にしてくれる。
愛する人のために
自分の役は なくしていいとすら思う。
わたしにしかないSTORYを紡ぎ
瞬々を感じきることが
人生をさらに わたしらしく開いていく。
今はその情熱が心から溢れている。
そして音楽は
わたしのSTORYを彩るBGMとして
今も大活躍中。
♪わたしが歩いている時に
声をかけても聞こえないのは
大音量の音楽とともに、
役になりきっているからであるw