嘘をつくことはあると思うけれど、
心に嘘を抱えつきとおすことは
人間にはかなりしんどいものだとわたしは感じている。
良かれと思って、自分の心に背いた嘘が
嘘を呼び、嘘を重ね、嘘がいろんな事実と絡まって、
気づいたら嘘の生き方を強いられる。
自分が(無意識でも)選んだことだけど、
こんなに深く・・・心の底に埋もれるとは思わずに。
脅かしているのではなく、
わたし自身、限界を口に出せず、もう少しやれる!と心に背いたために
自分を頑張らせすぎてしまったことを同じように感じたからである。
そんなわたしが、嘘をつくことについて言えるとするなら
自分の言葉通りの未来がやってきてしまうということ。
自分に背いた未来が。

自分の言葉の影響を、いちばん受け取るのは自分なんだよね。
弱さやついつい張ってしまう意地、素直になれない気持ちからつく嘘もある。
自分の思うようにしたくてつく嘘も、急に保身的に走ってしまう嘘も、
結果的に嘘になってしまったものも。
それらが悪だとは言い切れないし、世の中は正しさでできているのでもない。
でも
なぜ、そんな嘘をついてしまったか、
なぜ、結果的に嘘になってしまったか、自分だけは知っている。
それらを正直に、あきらかにして謝ることができたなら
それなりのこらしめはあるかもしれないけれど
失った信用と心のつかえは取り戻せると思う。
正直に、
あきらかにして謝るのは勇気がいることだけど
そのままの気持ちが届くとも感じている。
どれだけ時間が経っていたとしても。

カッコつけたり、良く見られたり、
認められることにエネルギーを注ぐ方が簡単で
素直でいる方が、手間も時間もエネルギーもかかるかもしれない
が、
その手間も時間もエネルギーも、自分を生きるためにかけた方がいい。
心から信じられない世の中かもしれないけれど
思うより愛に溢れているのだから。
Photographer 上田修司さん